- 栄養士会って入った方がいいの?
- 入るメリットって何があるの?
- 実際に入った人のリアルな声を知りたい!
こんな風に悩んでいませんか?
栄養士・管理栄養士として働くなら「栄養士会に入った方がいいよ」と勧められることもありますが、実際にどんなメリットがあるのか、いまいち分からないという人も多いのではないでしょうか。
身近に栄養士会に入っている人がいないと、具体的な話を聞く機会も少なく、「なんとなく気になるけど、よく分からないまま入っていない…」という人も多いと思います。
しかも、会費が決して安くはありません。それだけの価値がなければ、正直入る気になれないですよね。
そこでこの記事では、実際に栄養士会に入って1年以上経過した管理栄養士の私が、栄養士会に入るメリット・デメリットを(忖度無しで)解説します。

キャロット
- 管理栄養士経験10年以上(病院3年、委託給食8年)
- 栄養指導、献立作成、工場立ち上げの実務経験あり
- 最高役職:課長補佐
- 金に目がない、管理栄養士でも高年収をあきらめたくない
- 転職で年収100万アップを実現
おすすめな人 | おすすめできない人 |
・栄養業界の最新情報を知りたい人 ・キャリアアップを目指している人 ・フリーランスで働く人 | ・金銭的に厳しい人 ・勤勉意欲が低い人 |
興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください!
栄養士会とは?どんな団体なのかを簡単に解説

栄養士会とは、栄養士・管理栄養士のための職能団体です。
全国組織としては「公益社団法人 日本栄養士会」があり、その下部組織として各都道府県に「〇〇県栄養士会」などの地方栄養士会が設置されています。
栄養士会に入会する場合は、日本栄養士会と所属する都道府県の栄養士会の両方に同時に入会する仕組みになっており、どちらか一方だけに入ることはできません。
入会資格はシンプルで、栄養士または管理栄養士の資格を持っていれば誰でも入会可能です。
栄養士会の入会費

栄養士会に入会する場合、初年度の会費はおおよそ14,000円〜19,000円が相場です。
この金額に幅があるのは、都道府県ごとに「入会金」と「都道府県栄養士会の会費」が異なるためです。
入会費の内訳(初年度)は以下の通り。
- 入会金:1000~2000円
- 日本栄養士会会費:6500円
- 都道府県会費:7000~11500円
最も安いのは岡山県と広島県の14,000円で、一番高いのは新潟県の19,000円です。
以下は各都道府県の初年度会費です。(2025年9月時点)
初年度会費 | 都道府県 |
19,000円 | 新潟県 |
18,500円 | 島根県、鹿児島県 |
18,000円 | 青森県、長野県 |
17,500円 | 山形県、千葉県、熊本県 |
17,000円 | 群馬県、静岡県、三重県、山口県、福岡県、佐賀県、宮崎県 |
16,500円 | 奈良県、鳥取県、長崎県、大分県、沖縄県 |
16,000円 | 茨城県、栃木県、埼玉県、徳島県、愛媛県、高知県、香川県 |
15,500円 | 宮城県、東京都、富山県、福井県、愛知県、京都府 |
15,000円 | 北海道、岩手県、秋田県、福島県、石川県、山梨県、岐阜県、大阪府、兵庫県、滋賀県、 |
14,500円 | 神奈川県、和歌山県 |
14,000円 | 岡山県、広島県 |

住んでいる都道府県によって初年度会費に最大5,000円もの差があります。
栄養士会の入会状況


栄養士会の入会率は約41.6%です。
日本栄養士会の公式サイトによると、全国の会員数は約5万人。
栄養士・管理栄養士として実際に就業している人は約12万人(出典:厚生労働省「職業情報提供サイト」)とされており、現場で働く人のうち約4割が入会している計算になります。
厚生労働省の統計によれば、令和5年時点の資格保有者数は約146万人(内訳:栄養士 約118万人、管理栄養士 約28万人)です(出典:栄養士免許交付数の推移|厚生労働省)。これに対して会員数は5万人なので、全体の入会率はわずか約0.03%にとどまります。
つまり、栄養士・管理栄養士として実際に働いている人は、資格保有者のごく一部であり、その中でも栄養士会に所属している人はさらに限られているという現状がわかります。
栄養士会に入るとどうなる?入会後に受けられるサービスまとめ


栄養士会に入会すると、以下のサービスが受けられます。
- 栄養士賠償責任保険への自動加入
- キャリアアップ支援
- 研修会の参加
- 最新情報の提供
栄養士賠償責任保険への加入
入会者は全員、自動的に「栄養士賠償責任保険」に加入することになります。
これは、栄養士・管理栄養士としての業務中に起こった事故やトラブルに対する賠償責任をカバーしてくれる保険です。
保証金額は最大1億円と手厚く、安心して業務に取り組める大きな支えとなります。
例:以下のようなケースが対象
- 食事提供による食中毒事故が発生した場合
- 栄養管理計画書のミスによって患者の健康被害が出た場合
- 学校給食での誤配膳により生徒にケガや障害が出た場合
さらに、希望者は任意で「栄養士総合保証制度(上乗せ補償)」に加入することも可能。より万全な備えをしたい方にとっては心強い制度です。
キャリアアップ支援


栄養士会に入会すると、キャリアアップ支援が受けられます。
職場や業務内容に合わせ、スキルや専門性を磨くための認定制度が用意されています。
研修会の参加


栄養士会に入会すると、年間約300の研修会が会員価格で受講可能になります。
内容は幅広く以下のようなものが提供されています。
- 基本知識のおさらい
- 現場ですぐに役立つ実践技術の習得
- 最新の栄養政策・制度・指針の情報提供
自分の専門領域を深めたい人や、最新の情報をキャッチアップしたい人にとっては大きなメリットです。
最新情報の提供


入会後は、栄養業界に関するさまざまな最新情報を定期的に受け取ることができます。
毎月、全会員に「日本栄養士会雑誌」が届き、栄養業界の最新動向を解説した特集や管理栄養士・栄養士の活動を紹介する記事などが読めます。


また、都道府県の栄養士会からも不定期ですが雑誌が届きます。これは入会する都道府県によって内容や頻度が異なると思います。


最新の栄養知識を常にアップデートしていきたい人には非常に役立ちます。
栄養士会に入って感じたメリット5つ


ここからは、実際に私が栄養士会に入って感じたメリットを紹介します。



ちなみに私は、管理栄養士として長く働いていますが、資格取得してから10年以上、栄養士会には一度も入ったことがありませんでした。
正直なところ、栄養士会に入ってる管理栄養士に会ったことがありません。
しかし、フリーランスとして働くようになったため、情報収集のために栄養士会に入りました。
実際に私が1年以上栄養士会に入って感じたメリットは以下の通り。
- 毎月届く雑誌が勉強になる
- セミナー情報が手に入る
- 栄養ケア・ステーションで働ける
- 研修が会員価格で受けられる
- 栄養士賠償責任保険
毎月届く雑誌が勉強になる
私が栄養士会に入って一番メリットを感じたのは、毎月自宅に届く『日本栄養士会雑誌』です。
この雑誌では、栄養業界の最新動向や制度の改正情報、特集記事などが毎号掲載されており、情報収集に役立っています。


入会前は、自分から積極的に情報を取りに行くことがあまりなかったので、例えば「食事摂取基準」や「食品成分表」が新しくなっていても、かなり後から知ることが多かったですが、入会後は情報を追いやすくなりました。
もちろんこの雑誌だけですべてをカバーできるわけではありませんが、知識のアンテナを広げるきっかけとしては良いと感じました。



私は雑誌に載っている推薦図書も結構参考にして購入しています。
セミナー情報が手に入る


栄養士会に入って良かったのは、セミナー情報などが手に入ることです。案内は雑誌だけでなく、メールでも届くので、見逃すことなくキャッチできます。
私は今のところ、無料で参加できるオンラインセミナーに絞って参加していますが、気になるテーマがあればすぐに申し込めるのが便利です。
こういったセミナーに参加したいと思っていても、意外と参加できるセミナーを探すのに一苦労することも多いと思います。



無料のものだけでもセミナー受講はおすすめです。
栄養ケア・ステーションで働ける
私は利用してませんが、栄養士会の会員になることで、「栄養ケア・ステーション」に登録して働くことが可能になります。
栄養ケア・ステーションとは、地域のニーズに応じて栄養士・管理栄養士が派遣される仕組みで、訪問栄養指導や保健指導、個別栄養相談などの業務を行うことができます。
特に、フリーランスや副業を考えている人にとっては、新たな働き方の選択肢となる可能性もあります。
研修が会員価格で受けられる


栄養士会に入ると、各種研修を会員価格で受講することができます。
これが実はかなり大きなメリット。
たとえば、ある研修では、参加費が以下のようになっていました。
- 一般参加:22,000円
- 会員価格:3,300円
このように、会員価格と一般価格で1万円以上の差があるケースも少なくありません。
研修を定期的に受ける予定がある方は、入会しておいた方が圧倒的にコスパが良いと感じました。
栄養士賠償責任保険
栄養士会に入会すると、栄養士賠償責任保険に自動で加入できます。これは年会費に含まれており、追加の保険料はかかりません。
栄養士は、人の健康や命に関わる仕事なので、万が一、食中毒や栄養指導ミスなどのトラブルが起きた場合、賠償責任が問われることもゼロではありません。
最大1億円まで補償される内容なので、いざというときの安心感につながります。
栄養士会に入って感じたデメリット2つ


逆に栄養士会に入って感じたデメリットは以下の通り。
- 会費が高すぎる
- 受け身だとメリットが感じにくい
会費が高すぎる


これはみなさん感じたはず、会費が高すぎる!
地域によって差はありますが、高いところでは初年度で2万円近くかかるところもあります。
私が住んでいる地域では15,000円。決して安くはありません。2年目以降は入会金(1,000円)は不要になりますが、それでも毎年14,000円の出費があります。
正直、コスパが良いとは言えません。そもそも栄養士・管理栄養士は給料が安いのでこの会費はかなり負担感があります。
目的が情報収集だけであれば、自分でネットで情報収集する方がお金もかからなくていいです。
個人的におすすめの情報収集サイト⇒Eatreat



会費を払う余裕があり、入会の価値があると思えたら、入会すると良いと思います。
受け身だとメリットが感じにくい
正直、受け身の人はメリットを感じにくいと思います。というのも、会費が結構高いので、コスパよく利用するなら、自分から制度やサービスを活用する必要があります。
そのため、受け身の人は、入会してもただ雑誌が家に届くだけ、という状態になりやすいです。実際に私もほぼそんな感じです。雑誌の内容も、専門用語バリバリで結構読みにくい文章だったりするので、数ヶ月読まずに積みあがっていることもしばしば。
「なんとなく入ってみようかな」という感じだと、メリットを感じにくい可能性もあります。
栄養士会の入会がおすすめな人


栄養士会の入会がおすすめな人は次の通りです。
栄養業界の最新情報を知りたい人
栄養業界の最新動向をいち早くキャッチしたい方には、栄養士会の入会が適しています。
毎月発行される会報誌では、その時々のトピックスや注目の研究内容などが取り上げられており、日々の情報収集に役立ちます。
また、栄養士・管理栄養士として活躍している第一線の方々のインタビューや特集記事なども掲載されており、刺激や学びを得られる内容が満載です。
キャリアアップを目指している人
さらなるスキルアップや専門性の強化を目指す栄養士・管理栄養士の方にも、入会は非常に有益です。
栄養士会では、各分野に対応したキャリアアップ制度が整っており、段階的に学びを深めることができます。
各学会が提供する資格制度もありますが、栄養士会の制度は、栄養に特化しているため、専門知識の向上が期待できるでしょう。
フリーランスで働く人
フリーランスの栄養士・管理栄養士にとっても、栄養士会への入会は情報収集やネットワークづくりに役立ちます。
個人で活動していると、どうしても業界の情報に触れる機会が限られがちですが、栄養士会に所属していれば、常に最新の動向を把握しやすくなります。
また、「栄養ケアステーション」などの制度を通じて、仕事の機会が広がる可能性もあります。今すぐ活用しない場合でも、いざという時の選択肢として持っておくと安心です。
栄養士会の入会をおすすめしない人


一方で、栄養士会への入会があまりおすすめできない方もいます。
以下のような方は、無理に入会しなくてもよいかもしれません。
金銭的に余裕がない人
栄養士会の年会費は、1万円以上と決して安くはありません。家計に余裕がなく、年会費の支払いが負担になる場合は、無理に入会する必要はないでしょう。
特に栄養士・管理栄養士の中には、給与水準があまり高くない職場で働いている方も多く、生活費にゆとりがないケースもあると思います。
職場によっては『ヘルスケア・レストラン』などの専門雑誌を定期購読していたり、図書スペースで閲覧できる環境が整っている場合もあります。
また、インターネットやSNSでも栄養に関する最新情報は手に入りますので、まずはそういった方法で情報収集するのも一つの選択肢です。
向上心や学習意欲があまりない人
栄養士・管理栄養士として、知識やスキルを積極的に深めていきたいという意欲があまりない方には、栄養士会の入会はそれほど必要ないかもしれません。
入会すると毎月、専門誌などの資料が届きますが、内容は専門用語も多く、やや読みにくさを感じるページが多いです。あまり関心がない方にとっては、読むのが負担になってしまう可能性もあります。



実際に私自身も、読むのがめんどくさくなり数カ月読まずに積んでしまっていたことがありました。
そのため、「今は学びたい気持ちがあまりない」「読んでも活かせる自信がない」といった場合は、入会を焦らず、もう少し自分に合ったタイミングを待つのも良いでしょう。
よくある質問Q&A|栄養士会への入会


栄養士会の年会費はいくら?
地域の栄養士会によって異なりますが、初年度の会費は年間で 1万4千円〜1万9千円です。
翌年からは、入会金がなくなるので-1000~1500円の金額になります。栄養士会のホームページ入会のお申込みで都道府県を選択すると、その地域の金額が表示されます。
入らないと仕事に支障はある?
入会していなくても、栄養士や管理栄養士として働くこと自体に支障はありません。
実際に私も10年以上管理栄養士として働きながらも、栄養士会には入会していませんでした。ただし、入会すると、最新情報や研修機会、ネットワーク作りなどの面で有利なことがあります。特にキャリアアップや専門分野への理解を深めたい場合は、栄養士会の活用が役立つでしょう。
途中退会できる?
はい、途中で退会することは可能です。各都道府県の栄養士会から退会できます。
ただし、年度途中の退会であっても会費の返金がない場合がほとんどです。退会方法や時期については、各都道府県の栄養士会に事前に確認しておくと安心です。
まとめ:栄養士会に入るべきかは目的次第!


この記事では、栄養士会に入るべきかどうか、メリット・デメリットを解説しました。
要点をまとめると以下の通り。
- 就業者に対する入会率は約41.6%
- 初年度の会費は14,000~19,000円
- 最新の業界情報や専門知識が得られる
- キャリアアップや研修制度を活用しやすい
- 賠償責任保険が自動付帯する(会員特典)
入会がおすすめな人 | 入会を慎重に考えたい人 |
・栄養業界の最新情報を知りたい人 ・キャリアアップを目指している人 ・フリーランスで働く人 | ・金銭的に厳しい人 ・勤勉意欲が低い人 |
栄養士会に入るかどうかは、メリットデメリットを知ったうえで、自分に合うかどうか判断するのがおすすめです。



私も実際に10年以上は入会していませんでしたので、栄養士会員としては新米者です。
正直、高いなと感じますが、毎月送られてくる栄養雑誌目当てに入会を継続しています。他の栄養雑誌の定期購入も検討しましたが、値段が同じくらいなので、「それなら、保険などもついている栄養士会に入会した方がまあいいかな」と判断しました。
入るかどうかは個人の状況によると思いますので、今回解説した内容をぜひ参考にして判断してみてください。

