・管理栄養士として働いているけど人手不足で困っている
・新しい人が来てもすぐ辞めてしまい人が定着しない
・人手不足で精神的にも身体的にもきつい
こういったお悩みをかかえ、日々追い詰められていませんか?
管理栄養士の職場で人手不足は深刻な問題となっています。とくに厨房業務での人手不足がよくみられ、本来栄養管理が担当の管理栄養士も、厨房に立たざるを得ないという状況もよくあります。
私は病院で3年、委託給食で8年勤務経験がある管理栄養士で、常に人手不足には悩まされていました。
そこでこの記事では
- 管理栄養士の人手不足の現状
- 人手不足の原因
- 人手不足の対策
について解説します。
この記事を読めば、管理栄養士の職場での人手不足への対応策が分かり、悩まされることが減るかもしれません。中々人が定着せずに悩んでいる人は最後まで見てください。
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管理栄養士の職場の人手不足の現状
管理栄養士の職場では、人手不足が深刻な問題となっています。特に、給食業界ではその傾向が顕著で、中でも調理師・調理補助・その他の厨房スタッフの不足が多く見受けられます。
私自身も、委託給食会社で働いていたころ、常に人手不足に悩まされていました。管理栄養士は現場をまとめる役割があるので、人手不足のところにヘルプで入り、自身の業務の時間が確保できなくなることも日常茶飯事ですよね。
求人を出しても応募が中々来ないため、外国人スタッフの積極的な採用を進めるなどで対応していました。
人手不足の原因は離職率の高さ
給食業界が人手不足になっている原因に、高い離職率があります。厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果」によると、給食業界が該当する「宿泊業、飲食サービス業」の離職率は18.2%。全体の離職率が12.1%であることを考えると、かなり高い離職率であることが分かります。
離職率が高い原因は、次の要因があります。
- 仕事内容が過酷
- 給料が低い
- 人間関係の悩み
- 人手不足の悪循環
仕事内容が過酷
管理栄養士の職場で離職率が高い原因に、過酷な厨房業務があります。
- 立ちっぱなしで身体的負担が大きい
- 大量調理のため力仕事が多い
- 厨房は高温多湿
- 冷蔵・冷凍庫は低温環境
- 厨房と保管庫の温度差が激しい
- 長時間労働も多い
こうした厳しい労働環境のため、仕事が長く続かない人も多いです。
過酷な環境のため、入社後1~3日で退職してしまうケースを何度も目にしました。
給料が低い
管理栄養士の職場で離職率が高い原因に、給食業界の給料の低さがあります。一般的に、給食業界の給料は高くありません。給料が上がらない要因としては以下の2点が挙げられます。
- 近年の食材費の高騰
- 食事料金が一律である
とくに、食材費はここ最近大幅に上昇しており、厳しいコスト管理を強いられています。
さらに、病院食においては、国から支給される食事料金が一律に定められており、給食の質にかかわらず、その金額は変動しません。そのため、利益を出すことが難しく、従業員の給料が上がりにくくなってしまいます。(参照:別紙9 入院時食事療養費に関わる…)
管理栄養士の給料が低い理由については☟こちらの記事でも解説しています。
人間関係の悩み
管理栄養士の職場で離職率が高い原因に、人間関係の問題が多いことも一つです。給食業界は、女性が多い職場環境のため、言い争いやトラブルが日常的に発生することも少なくありません。とくに、ご年配の女性同士のいざこざが多いです。
また現場作業は常に時間い追われることが多いため、焦りやストレスのたまりやすさから、口調が荒くなったり、イライラがツ残ることも多くあります。そのため、人間関係が悪くなり、離職率を上げてしまうことに繋がってしまっています。
管理栄養士の人間関係について☟こちらの記事でも確認できます。
人手不足の悪循環
管理栄養士の職場で離職率が高い原因の一つは、人手不足がさらに悪化し、悪循環を生んでいることです。
新人が入社しても、指導する人材が不足している場合、引き継ぎや研修が不十分なままで仕事を任されることがあります。そうすると新人は未経験や不慣れな状態で仕事をこなすことにストレスを感じ、長期間続けることが難しくなります。
このような状況では、離職が進み、人手不足がますます高まるという悪循環が生まれてしまいます。
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人手不足の実例
実際に人手不足で悩んている管理栄養士の実例をご紹介します。
【実例① 特別養護老人ホームの管理栄養士】
「頑張って」と言われるだけ
私は特別養護老人ホームで働く2年目の管理栄養士です。
今年の初めに先輩の管理栄養士が退職し、2ヶ月間の引き継ぎを行いましたが、その間に突然調理員の1人が辞め、さらに早出のパートさんが怪我で休職しました。昨年から既に2人が退職しており、今回の欠員も加わり、人手不足が深刻です。
本来なら栄養ケアマネジメントに専念するはずでしたが、来月は月の半分以上が厨房業務となる予定です。普段厨房に入らない主任栄養士も今回は手伝っています。
上司に相談しても「他の施設と比べて少なくないから、頑張って」と言われるだけで、改善の見込みはありません。このまま現状を受け入れるしかないのか、転職を考えるべきか悩んでいます。
【実例② 委託給食会社の栄養士】
もう辞めたい気持ちです。
委託会社で働く栄養士です。
最近、勤務状況があまりにも異常だと感じています。
6月末に調理師が定年退職しましたが、会社は代わりの人員を手配せず、7月が1人少ない状態でスタートしました。さらに、一週間後にパートさんが体調不良で入院し、そのまま退職。その方の母親も一緒に働いていたため、家庭の事情で一緒に退職しました。
これで一気に3人が欠員となり、シフトが回らなくなったため、何度もマネージャーに訴えましたが、対応はなく、やっと来た調理師は調理ができない人でした。
求人を出しても反応はなく、休みも取れず、暑さで倒れそうです。
この状況、やはりおかしいですよね…もう辞めたい気持ちです。
【実例③ 老人ホームの管理栄養士】
心底疲れ果てました。
直営の老人ホームで栄養士として勤務していますが、数年にわたり人員が安定しない状況が続いています。補填してもすぐに辞めてしまうの繰り返しで、今日もパートの方に「辞めたい」と言われました。
人手不足はどの業界でも深刻ですが、これほど人が定着しない職場では、私ももう限界に近づいています。もし今日辞めたいと言ってきた方の代わりが見つからなければ、私は完全に厨房に常駐することになります。
厨房業務自体は好きですが、献立作成や発注、在庫管理などの事務作業も多く、休日返上や残業が必須になってしまいます。この数年、何度も同じ状況を経験し、その繰り返しに心底疲れ果てました。
人員が安定していれば、今の職場でずっと働きたいと思っていたので、どうすべきか悩んでいます。
3つの実例をご紹介しました。
どの実例も深刻な人手不足に直面しています。今回ご紹介したのは一部に過ぎず、同様に人手不足に苦しむ職場は他にも数多く存在します。
人手不足により業務が滞ると、食事の提供すら難しくなってしまうため、早急に解決策を見つけることが不可欠です。
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人手不足の対策は辞めない環境作り
人手不足を改善するためには、まず人が辞めない環境作りが重要です。
新しい人を集めることも大切ですが、来てもすぐに辞めてしまう職場では、どれだけ採用を重ねても人手不足は解消されません。
「なぜ職場が辞めやすい環境になっているのか?」その原因を見極め、具体的な対策を進めていくことが必要です。
以下、辞めない環境作りのために重要になってくる改善点です。
- 人間関係の改善
- 人材の育成
- マニュアルの作成
- 業務内容の効率化をはかる
それぞれ解説していきます。
人間関係の改善
まず、人間関係の改善が最も大切です。どの職場でも、人間関係が退職の主な理由に挙げられることが多いからです。人間関係が良い職場であれば、たとえ業務が厳しくても、みんなで協力し、支え合いながら乗り越えることができます。
具体的な改善方法として、人間関係がこじれる場合には、職場に影響力のあるキーマンがいることが多いので、その人に働きかけることが効果的です。実は、特定の1人の言動が退職のきっかけになっていたり、集団内で発言力の強い1人が原因となってトラブルが起きていることもよくあります。
そのため、キーマンへの適切なサポートが、人間関係を改善するための大きな一歩となります。
実際、私の経験でも、いざこざの多かった職場で、たった1人が退職しただけで、その後はまったくトラブルが起こらなくなったという事例がありました。
人材の育成
人材の育成も非常に重要です。たとえ同じ人数でも、個々のポテンシャルの違いによって、業務の効率が大きく変わることはよくあります。
職場で、「あの人は仕事が遅いし、覚えが悪い」と感じ、十分に育成されていない人はいませんか?こういった人材をいかに上手に育てて、戦力にしていくかが非常に大切です。
「もっと仕事ができる人が来ないだろうか」と、新しい人をただ待つだけでは、人手不足は解消できません。今いるメンバーをしっかりと育成し、最大限の力を発揮できるようサポートすることが、人手不足の改善につながります。
実は私も以前、「この後輩を育てるのは難しい」と諦めて、「他にいい人が来ないかな」と嘆いていたことがありました。しかし、それは間違いでした。
どんな人にも得意なことはあるものです。その強みを見つけて伸ばしてあげることは、その人自身の成長にもつながり、同時に人手不足の現場にとっても大きな助けとなります。
マニュアルの作成
マニュアル作成も、人手不足の解消において非常に重要な役割を果たします。人手が足りず仕事が忙しい中で、新人に作業を教えながら仕事を進めるのは大変なことです。
しかし、教育を疎かにすると、新人がせっかく入社してもすぐに辞めてしまうことがあります。そこで、誰でも簡単に理解し、実践できるマニュアルを作成することが、教育時間を大幅に短縮し、効果的なサポートになります。
マニュアルを活用すれば、新人の不安も軽減され、効率的に作業を進めてもらうことができるのです。わかりやすいマニュアルを作るためには、以下の点に注意しましょう。
- 手順を①②③…と、段階ごとに明確に記載する
- 写真をつけて視覚的にわかりやすくする
- 新人がわからない専門用語に注意する
これらのポイントは非常に大切です。
手順を①②③…と、段階ごとに明確に記載する
手順に番号をつけるのは当たり前に感じるかもしれませんが、意外とできていないことが多いです。また、マニュアルを渡されても「どこから見ればいいの?」と迷わせる内容では意味がありません。
しっかりと分かりやすいマニュアルを作ることを心がけましょう。
写真をつけて視覚的にわかりやすくする
文字だけのマニュアルは避けるべきです。例えば、「デスクトップにある献立データのファイルを開けて」などは良くありません。そのパソコンを使い慣れている人はわかるかもしれませんが、新人はまずどこにファイルがあるのかが分かりません。
その結果、ファイルを探す工程が発生し、時間のロスやストレスの原因になります。このような場合は、デスクトップの写真を添え、献立データの場所を一目で分かるように示してあげることが大切です。
新人がわからない専門用語に注意する
また、新人が理解しにくい専門用語に注意することも重要です。長年働いていると、その言葉が当たり前になり、新人には伝わりにくいことがあります。
私が驚いた経験では、「食札」という言葉。管理栄養士なら誰でも知っている言葉ですが、異業種から来た新人には伝わりませんでした。このように予想もしていないものが専門用語だったりすることがあるので、常に理解度を確認しながら教えることが大切です。わからない言葉が出てきたらすぐに説明し、分からないと予測できるものは事前に共有しておくことが大切です。
一見、マニュアル作成は人手不足に関係ないように思えるかもしれませんが、こうした細かい対応が、結果として人手不足の改善に繋がります。
業務内容の効率化をはかる
業務内容の効率化をはかることも人手不足の対策に重要です。
以下の項目を見直してみましょう。
- ムダとり
- 効率化アイテムの導入
- 運用の見直し
それぞれ解説します。
ムダとり
業務のムダを徹底的になくし、効率化をはかることはとても大切です。意外と、やらなくてもいいことをやっていることは多くあります。
例えば、準備のための業務です。効率よくできるために、準備をすることは大切ですが、時にはそれがやりすぎとなり、余計な作業を発生させていることがあります。
たとえば、私の経験では、「Aの書類をクリアファイルに事前に入れておく」という準備業務がありました。この作業は書類の置き場所を変更するだけで作業自体を無くすことができました。
こういった「なくなっても影響がない作業」を見直すことで、業務の効率化が進みます。
効率化アイテムの導入
管理栄養士の職場は、アナログの業務がまだまだたくさん残っていることが多いです。
・手書きで指示出ししていませんか?
・パソコンを使えば一瞬で正確な数値が出せるところを、その都度電卓で計算して数値を出していたりしませんか?
エクセルなどの機能をうまく使いこなすことも大切です。
たとえばシステムを導入すれば人員が1人減らすことができる場合などは、積極的に便利なシステムを導入した方が良いです。「上司に言ってもお金がかかるからどうせ買ってくれない」と諦めてしまうことも多いと思いますが、プレゼンがうまくできていない可能性もあります。
- 今の作業にどれくらいの時間がかかっており、
- このシステムを入れると、1日当たり何時間削減することができるので、
- 実質〇人分の作業量を減らすことができます。
↑このように明確に効果を示すことができれば、受け入れてくれることも多いです。
これはシステムだけではなく、調味料や調理器具にも言えます。
こういった効率化になる商品の情報を集め導入検討していくことで少しずつ効率化がはかれます。
運用の見直し
運用を見直すことも効率化に繋がります。すべてを厨房内で調理しているところを、クックチルやニュークックチルの導入を検討してみることも有効です。実際に給食業界では人手不足が加速し、クックチル・ニュークックチルがかなり増えてきました。
地域の人口が少なく人を集めることが見込めない場合などは、人が少なくても給食提供ができる運用方法にシフトしていく決断も必要です。
改善が難しい場合は転職も考慮する
改善策をご紹介しましたが、立場や職場の状況的にも改善がなかなか難しいこともあります。
そういったときは、上司に相談してみることや、転職することも考慮しましょう。
上司に相談する
まずは上司に相談してみましょう。状況をしっかり説明し、その深刻さが伝われば、応援スタッフの手配や求人募集の拡大など、何らかの対策を講じてくれるかもしれません。
転職する
上で紹介した実例のように、上司に相談しても何も行動を起こしてくれないこともあります。その場合は、転職も選択肢の一つとして検討してみることをおすすめします。
あなたが退職することで現場がさらに厳しくなるかもしれませんが、そうまでしないと、上司が問題の深刻さに気づかないこともあります。
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まとめ:人手不足は今後も続く課題
この記事では管理栄養士の職場の人手不足について解説しました。
要点をまとめると以下の通り。
- 人手不足の原因は離職率の高さ
- 人手不足の対策は辞めない環境作り
- 最悪の場合転職も考慮する
人手不足の対策ではまずは職場環境を整えることが重要なポイントとなります。
新人を待つばかりで、職場環境の改善をしてこなかった方はこのポイントを押さえて、まず環境改善に取り組んでみてください。
しかし、自分の力ではどうにもならず、精神的・身体的にもきつい状況の人は転職も視野に入れておきましょう。
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