【病院給食】セントラルキッチンの仕事内容を解説!メリット・デメリット

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・セントラルキッチンってなに?
・病院給食のセントラルキッチンについて知りたい。
・セントラルキッチンの仕事内容ってどんなの?


こういった疑問を持つことはありませんか?
セントラルキッチンはここ最近増えてきましたが、まだあまり聞いたことがない方もいるかもしれません。

まりすけ

私は、病院給食のセントラルキッチンで8年勤務経験のある管理栄養士です。2つの会社のセントラルキッチンで、現場・献立作成・お客様対応などを行っていました。


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しかしセントラルキッチンについて、よくわからず躊躇してしまうことも多いと思います。
そこでこの記事では、セントラルキッチンの事業内容について詳しく解説します。

この記事を読めば、セントラルキッチンへの理解が深まり、前向きなキャリアへ繋げることができるでしょう。
環境の良い職場で働きたい方はぜひ最後まで見ていってください。

目次

セントラルキッチンとは?

※ここでは病院給食をメインとして取り扱うセントラルキッチンとして説明します。

セントラルキッチンは、一言で言うと、大きいキッチンです。
複数の病院や福祉施設に提供する患者食を1ヵ所でまとめて大量調理する施設のことです。
患者食の下処理、調理、盛り付け、トレイメイク(施設で行うこともあり)、食器の洗浄を請け負います。

調理した食事は、チルド状態(0~3℃)で病院(サテライトキッチン※)へ運ばれ、喫食前に再加熱して患者様に提供されます。

※サテライトキッチンとは、病院内にある小さいキッチンのことです。
 セントラルキッチンから食事の提供を受けて最終的な配膳を行います。

セントラルキッチンの調理方法

セントラルキッチンで行われる調理方法は以下の3つです。

  • クックチル
  • クックフリーズ
  • 真空調理

セントラルキッチンの調理法で多いのはクックチル

セントラルキッチンで一般的に多く採用されているのがクックチルです。
ここでは、他の2つ(クックフリーズ・真空調理)についての説明は省略します。

クックチルとは、調理した食品をすぐに急速に冷やして保存し、必要なときに再加熱して提供する調理方法です。
この方法では、調理後すぐに食品を90分以内に3℃以下まで急速冷却します。
その後、食品は冷蔵保存(0~3℃)し、提供前に再加熱します。

適切に冷却・保存された食品は、通常5日間保存可能です(最初に加熱をした日から提供する日を含めて5日間)。

私が働いていたセントラルキッチンはニュークックチルで運用をしていました。
ニュークックチルが分からない方はこちら ☟

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セントラルキッチンでクックサーブがない理由

ちなみに、セントラルキッチンの調理方法の中にクックサーブは入っていません。
クックサーブは調理後すぐに提供する調理方法のことで、一般的に病院内の厨房で行われているのがこれです。

なぜセントラルキッチンの調理方法の中にクックサーブがないかというと、食中毒の危険性があるからです。
10~60℃の間は食中毒菌が増殖しやすい温度帯になります。

セントラルキッチンは病院以外の施設なので、調理後に食事を病院に運ばなければいけません。
その配送の際に常温のまま食事を運ぶと、運んでいる間に食事は10~60℃の温度帯になり食中毒菌が増殖してしまいます。

そのためセントラルキッチンの調理方法の中にクックサーブは入っていません。

セントラルキッチンのメリット

セントラルキッチンのメリットを上げます。
実際に私がセントラルキッチンで働いて感じたメリットです。

  • 食材費・人件費・経費の削減
  • サテライトキッチンの負担軽減
  • 早出・遅出勤務がなくなる
  • 業務の専任が可能

食材費・人件費・経費の削減

複数の病院の食事を1ヵ所で行うため、大量調理で効率が良いです。
食材費・人件費・経費の削減につながります。

サテライトキッチンの負担軽減

病院内の厨房であるサテライトキッチンでの調理作業が減り、負担が軽減されます。

クックチルの場合は、盛り付け・配膳・洗浄のみでOK!
ニュークックチルの場合は、検収のみでOK!
 >>クックチル・ニュークックチルの違いとは?

早番・遅番がなくなる

クックチルは、調理した料理を1度冷却して、食べる前に再加熱するシステムなので、
通常の給食のように、朝食の喫食時間に間に合うように調理する、ということがなくなります。

事前に作っておき、保存しておくことができます。
そのため、早番・遅番がなくなります。
(調理師さんだけ早番の場合がありますが、勤務時間が変則的になることは少ないです。)

業務の専任が可能

調理担当は、調理だけ
盛り付け担当は、盛り付けだけ
という風に、業務の専任ができます。

これは、セントラルキッチンで取り扱う料理数が大量のため、部署ごとに分担して作業を行っているからです。
そのため例えば調理の人が、自分の業務が終わったら盛り付け業務を行ったりなどの、部署間の移動は基本的には行われません。

通常の給食会社であれば、下処理から調理・盛り付け・洗浄まで、一通りの仕事を行うことも多いと思います。
セントラルキッチンはそれが無いので、1つの作業に集中することができます

そのため、個々の技術もレベルが高いものになっていきます。

セントラルキッチンのデメリット

セントラルキッチンのデメリットを挙げます。
こちらも私が実際に働いて感じたデメリットです。

  • 初期投資の費用がかかる
  • 衛生管理の徹底が必要不可欠
  • メニューの柔軟性が下がる

初期投資の費用がかかる

色んな設備が必要になるのでその分初期投資がかかります。
これは経営側の問題なので、従業員にはあまり関係ないかもしれませんが一応触れます。
興味ない方は、読み飛ばしてください。

セントラルキッチンには通常の給食会社では扱わない設備などがあります。
具体的には、チラー(料理を急速冷却する機械)、カートなどです。
カートはニュークックチルの場合に必要となり、ニュークックチル専用のカートが必要になります。

また、回転数を考慮し通常よりも多くの食器や調理器具も必要になります。
そのため、セントラルキッチンは通常の委託給食より初期投資の費用がかかります。

衛生管理の徹底が必要不可欠

もちろん衛生管理はどこの給食会社でも必要です。
セントラルキッチンでは通常より気を付けるポイントが多く、徹底した衛生管理が必要不可欠です。

調理から喫食までに時間があくので、その期間に食中毒菌を増殖させてはいけないからです。
HACCPでいう重要管理点をしっかり理解し、温度管理に努めます。

(参照:HACCP(ハサップ)|厚生労働省

メニューの柔軟性が下がる

セントラルキッチンは、複数の施設の料理を一括で調理するため、一部の病院からの要望が中々反映しにくいところがあります。

例えば、病院独自のイベントである開院記念日などに特別メニューを提供するなど。
別工程が発生すると、セントラルキッチンの負担は想像以上に増えてしまいます。
(それでも、場合によっては受けることもあります)

セントラルキッチンの具体的な仕事内容は?

具体的な仕事内容を下にまとめました。

  • 献立作成
  • 事務作業
  • 食材発注
  • 下処理
  • 調理
  • 盛り付け
  • 配膳
  • 洗浄
  • 配送

献立作成

管理栄養士が献立作成を行います。栄養ソフトを用います。
病院給食の場合は、職種がかなり多くなる場合があります。
ニュークックチルの献立作成は、奥が深いです!

事務作業

事務所で、パソコンを使用したり、書類管理をしたりが発生します。
現場への指示書作りなどもあります。
他には、病院からの食事発注の締め切り作業があります。

食材発注

食材の発注作業を行います。基本的にはパソコンで行います。
大量の食材を扱うので、発注は重要な業務の1つです。
月末には棚卸があります。

下処理

食材の下処理を行います。野菜や肉・魚などを扱います。
具体的には、野菜をカットしたり、肉魚の下味をつけたり、バットに並べたり、などの作業です。

調理

下処理済の食品を加熱調理します。
調理後は、90分以内に3℃以下に冷却します。
温度管理が重要な部署になります。

盛り付け

ニュークックチルの場合、調理された料理を盛り付けます。
見栄えよく、均等に、丁寧な盛り付けを心がけます。

配膳

ニュークックチルの場合、盛り付けた料理をトレイに配膳していきます。
個人ごとに配膳する料理が異なるので、献立を見ながら正しい調理をセットしていきます。

洗浄

調理器具や、食器、カートなどの洗浄作業があります。

配送

調理済みの食事を各病院へ運びます。
チルド状態(0~3℃)で運ぶので、冷蔵車を使用します。

セントラルキッチンで働く際の注意点

セントラルキッチンで働く際に気を付けたいのが、服装です!


なぜかというと、セントラルキッチンは、部署によって気温が全然違うからです。
基本的にキッチン内は、食品の温度を上げてはいけないのでエアコンが効いています。
夏は涼しくていいです。

しかし洗浄室は湿度と温度がかなり高めです。
自分が配属される部署の気温によって、服装に注意してください。

まとめ

セントラルキッチンについて解説しました。
セントラルキッチンはクックチル方式のため、これらのメリットがあります。

  • 食材費・人件費・経費の削減
  • サテライトキッチンの負担軽減
  • 早出・遅出勤務がなくなる
  • 業務の専任が可能

とくに、早出・遅出勤務がないのは管理栄養士さんにとっては嬉しいです!

また業務を専任できるのも嬉しいポイント。
同時にいくつものタスクをこなすよりも、担当部署の技術を磨くのに適した環境です。



しかしデメリットもあります。

  • 初期投資の費用がかかる
  • 衛生管理の徹底が必要不可欠
  • メニューの柔軟性が下がる

これらのデメリットを知ったうえで仕事をすることが大事です。

セントラルキッチンは総合的にとても考えられた良い給食システムです。
給食会社は人手不足もあり、セントラルキッチンは年々増えています。

セントラルキッチンは将来性もあり、管理栄養士さんにおすすめの職場です!
私は引っ越しによりセントラルキッチンを泣く泣く退職してしましました。

もし近くセントラルキッチンがあるという方は、求人がなくなる前にすぐ応募しましょう!

管理栄養士の転職先で病院給食のセントラルキッチンがおすすめな5つの理由

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